『海と毒薬』の真実

2021年2月26日 日経メディカル Online 医の倫理

 新型コロナ感染症の治療に当たる医療現場は、しばしば戦場にたとえられるが、まさかウイルスと医療者の戦いを本物の戦争と同一視する人はいないだろう。コロナ治療は、平和だからできているのである。弥生3月は先の大戦の記憶を呼び起こす。1945年3月10日、東京の都市部はアメリカ軍による無差別攻撃で、一晩に8万4000人(『警視庁史 昭和前編』、1962)以上の命が奪われた。この東京大空襲で、一夜にして東京市街地の東半分、区部面積の3分の1が焼失し、大量の戦争孤児が発生している。つくづく戦争とは恐ろしいものだと思う。平和あっての医療であり、戦争は医療をすさまじく、ねじ曲げる。

Comments are currently closed.